もしも数学教師がITベンチャーに入社したら

教育ICT(EdTech)や学習などに関する情報を発信していきます。

EdTechとeラーニングの違い

 

最近、EdTechという言葉が話題になっています。

 

教育業界でない方にとっては聞き慣れない言葉かもしれませんが、教育にイノベーションを起こす領域として注目されています。

 

そして大きな市場規模を形成する分野として期待されています。

 

EdTechとは何か?eラーニングとの違いは?についてご説明していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

EdTechとは?

 

〇〇Tech

 

金融業界だとFinTech(Finance × Technology)、広告業界だとAdTech(Advertisement × Technology)というように、その業界にテクノロジーが入り込むことを〇〇Techと称する。

 

これは単にTechnologyが導入されるだけでなく、その業界の仕組みを変えてしまう。

 

例えばFinTechの領域では、銀行を介さずに貨幣のやりとりを可能にしたが、これは国を介さずに価値の交換を可能し、業界の根本を変えてしまう。

 

ブロックチェーンにより改竄不可なトークンのやりとりを可能にし、個人間の仮想通貨の受け渡しができるようになった。

 

 

EdTech

 

教育業界ではEdTechと称されるが、こちらも単なるTechnologyの導入ではない。

 

先生が授業をしやすくするツールもあるが、最終的に学習者の変容をもたらすものが支持されている。

 

f:id:rabe0703:20190203162639p:plain

https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/publication/it_solution/2018/06/ITSF180605.pdf?la=ja-JP&hash=D06155068CA89444E1336B1784D38EA1FE8D9B0E

 

様々な動画コンテンツの登場により、学習者はいつでもどこでも学習が可能となった。

 

また、SNSツールで誰とでも学習成果物を共有することができ、協同して学習できるようになった。

 

全員がわざわざ学校で一斉授業を受けなくても、パーソナライズされた学習が可能となった。

 

つまり、EdTechは単に学習が少しだけ便利になるものではなく、学習や教育のあり方を根本から変え得るものである。

 

 

破壊的イノベーションを起こす

 

上記のような、根本的な変革を破壊的イノベーションと呼ぶ。

 

ITツールの導入で従来の教育や授業、学習が少しだけ良くなるのではなく、

 

今まで教育サービスが行き届かなかった領域が生まれたり、根本の仕組みが変わることが破壊的イノベーションである。

 

EdTechは、破壊的イノベーションを起こし得るものである。 

 

www.moshiben.com

 

 

日本のベンチャー企業の参入

 

また、ベンチャー企業が参入しやすくなったのも〇〇Techの特徴だ。

 

ピボットを重ねて顧客や市場のニーズに応えるべくリーンなプロダクトを提供できる。

 

教育業界においても多くのベンチャーが参入するようになってきている。

 

それ故、多様なニーズに応えるプロダクト・サービスが開発されて、破壊的イノベーションが起きやすい要因にもなっている。

 

 

 EdTechとeラーニングの違い

 

eラーニングの特徴

 

日本でも2010年頃にeラーニングが普及し始めた。

 

インターネット上での講義プログラムMOOC(Massive open online course)は、誰でも、どこでも、同じクオリティの講義を低価格で受講できることを可能にした。

 

日本では、JMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会)のサービスを幅広い年齢層のユーザーが利用している。

https://www.jmooc.jp/

 

 

eラーニングの課題

 

インターネット上での学習が万能であるかというと、そうでもなかった。

 

MOOCにおける課題は、講義コースの修了者が少ないということだ。

 

個人学習だと、講義をすべて受講する前に辞めてしまうのだ。

 

その原因とされるのが、社会性要因の欠如である。

 

eラーニングでない学校での授業では、指導者から締め切りのある課題を課されたり、フィードバックをもらったり、友人らと相互的な関わりが存在する。

 

これらの社会性要因がeラーニングには欠落していたため、講義コースの修了率が伸び悩むのだという。

 

gigazine.net

 

 

 

EdTechとeラーニングの違い

 

EdTechはそれらを解決し得る。

 

単にオンライン上で学習ができるだけでなく、より現実の教室での学習に見立てた、自然な学習機会を提供する。

 

例えば、自分の学習したノートなどの成果物を先生や友人に共有して、即時のフィードバックをもらうことができる。

 

また、AI教材は、先生の代わりに個々に応じた振り返り問題を出力してくれる。

 

このような環境を構築し、結果的に学習や教育の仕組みそのものを変えてしまうのがEdTechである。

 

経済産業省は、EdTechサービスを用途別にカテゴライズして公開している。

 

www.learning-innovation.go.jp

 

 

 

今後のEdTech市場予測

 

現在では2000億円である市場規模が、2023年には3000億円に達すると予測されている。(野村総合研究所

f:id:rabe0703:20190203155505p:plain

https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/publication/it_solution/2018/06/ITSF180605.pdf?la=ja-JP&hash=D06155068CA89444E1336B1784D38EA1FE8D9B0E

 

大学生、中高生のみならず、小学生や幼稚園・保育園に拡大していく見込みだ。

 

eラーニングだけでは解決できなかった学習の課題を、EdTechは解決する。

 

タブレット端末やwifi環境が全国の学校に確実に普及していくことも課題ではあるが、少しずつ改善はなされてきている。

 

今後も、様々なEdTechサービスの展開に注目である。