EdTechとeラーニングの違い
最近、EdTechという言葉が話題になっています。
教育業界でない方にとっては聞き慣れない言葉かもしれませんが、教育にイノベーションを起こす領域として注目されています。
そして大きな市場規模を形成する分野として期待されています。
EdTechとは何か?eラーニングとの違いは?についてご説明していきます。
EdTechとは?
〇〇Tech
金融業界だとFinTech(Finance × Technology)、広告業界だとAdTech(Advertisement × Technology)というように、その業界にテクノロジーが入り込むことを〇〇Techと称する。
これは単にTechnologyが導入されるだけでなく、その業界の仕組みを変えてしまう。
例えばFinTechの領域では、銀行を介さずに貨幣のやりとりを可能にしたが、これは国を介さずに価値の交換を可能し、業界の根本を変えてしまう。
ブロックチェーンにより改竄不可なトークンのやりとりを可能にし、個人間の仮想通貨の受け渡しができるようになった。
EdTech
教育業界ではEdTechと称されるが、こちらも単なるTechnologyの導入ではない。
先生が授業をしやすくするツールもあるが、最終的に学習者の変容をもたらすものが支持されている。
様々な動画コンテンツの登場により、学習者はいつでもどこでも学習が可能となった。
また、SNSツールで誰とでも学習成果物を共有することができ、協同して学習できるようになった。
全員がわざわざ学校で一斉授業を受けなくても、パーソナライズされた学習が可能となった。
つまり、EdTechは単に学習が少しだけ便利になるものではなく、学習や教育のあり方を根本から変え得るものである。
破壊的イノベーションを起こす
上記のような、根本的な変革を破壊的イノベーションと呼ぶ。
ITツールの導入で従来の教育や授業、学習が少しだけ良くなるのではなく、
今まで教育サービスが行き届かなかった領域が生まれたり、根本の仕組みが変わることが破壊的イノベーションである。
EdTechは、破壊的イノベーションを起こし得るものである。
日本のベンチャー企業の参入
また、ベンチャー企業が参入しやすくなったのも〇〇Techの特徴だ。
ピボットを重ねて顧客や市場のニーズに応えるべくリーンなプロダクトを提供できる。
教育業界においても多くのベンチャーが参入するようになってきている。
それ故、多様なニーズに応えるプロダクト・サービスが開発されて、破壊的イノベーションが起きやすい要因にもなっている。
EdTechとeラーニングの違い
eラーニングの特徴
日本でも2010年頃にeラーニングが普及し始めた。
インターネット上での講義プログラムMOOC(Massive open online course)は、誰でも、どこでも、同じクオリティの講義を低価格で受講できることを可能にした。
日本では、JMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会)のサービスを幅広い年齢層のユーザーが利用している。
eラーニングの課題
インターネット上での学習が万能であるかというと、そうでもなかった。
MOOCにおける課題は、講義コースの修了者が少ないということだ。
個人学習だと、講義をすべて受講する前に辞めてしまうのだ。
その原因とされるのが、社会性要因の欠如である。
eラーニングでない学校での授業では、指導者から締め切りのある課題を課されたり、フィードバックをもらったり、友人らと相互的な関わりが存在する。
これらの社会性要因がeラーニングには欠落していたため、講義コースの修了率が伸び悩むのだという。
EdTechとeラーニングの違い
EdTechはそれらを解決し得る。
単にオンライン上で学習ができるだけでなく、より現実の教室での学習に見立てた、自然な学習機会を提供する。
例えば、自分の学習したノートなどの成果物を先生や友人に共有して、即時のフィードバックをもらうことができる。
また、AI教材は、先生の代わりに個々に応じた振り返り問題を出力してくれる。
このような環境を構築し、結果的に学習や教育の仕組みそのものを変えてしまうのがEdTechである。
経済産業省は、EdTechサービスを用途別にカテゴライズして公開している。
今後のEdTech市場予測
現在では2000億円である市場規模が、2023年には3000億円に達すると予測されている。(野村総合研究所)
大学生、中高生のみならず、小学生や幼稚園・保育園に拡大していく見込みだ。
eラーニングだけでは解決できなかった学習の課題を、EdTechは解決する。
タブレット端末やwifi環境が全国の学校に確実に普及していくことも課題ではあるが、少しずつ改善はなされてきている。
今後も、様々なEdTechサービスの展開に注目である。