自立と自律の違い
自立と自律という言葉は、教育の世界ではよく見かける言葉です。
学校の校訓や教育目標にはよく「自立」「自立した人」「自律心」「自律できる人」などの言葉が使われています。
また、最近では学習塾の新しい形態として「自立学習」という言葉が現れてきました。
学習や教育の過程で「自立」と「自律」は欠かせないことは知られていますが、それらの意味の違いははっきり分からない人も多いはず。
今回は「自立」と「自律」の意味の違いや、学習者を自立(自律)させる方法について解説していきます。
辞書的な意味の違い
「自立」
他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに、存在すること。
英語では「Independence」。自分の足で立っているイメージです。
「自律」
他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること。
英語では「self-control」。 自身を律する、コントロールするイメージです。
二つの言葉の関係
上の辞書的な意味より、二つの言葉は因果関係です。
「自立」は結果(状態)で、「自律」は原因(プロセス)です。
二つの言葉の使い方としては、
「自律した結果、自立した状態になる」
「自立するために自律する」
のように用いられ、因果関係です。
そのため、自律(self-control)なしに自立(independence)の状態は生まれません。
新しい塾の形態としての「自立」
「自立学習」という新しい形態が出てきています。
これは集団授業でも個別指導でもありません。
基本的に授業は行いません。
生徒は学習動画を視聴したり、参考書で学習をします。
分からないところを先生やチューター、オンラインの相談窓口にて質問します。
生徒たちは独りで学習します。主体的に学習します。受け身の学習ではありません。
もちろん入塾したばかりの生徒が全員このような「自立した」状態とは限りません。
しかし、生徒がこのような「自立した」状態になるように先生やチューターはサポートし、結果的に生徒は自立します。
このように、「自立した」生徒を育てることを目標にしているため「自立学習」と呼ばれています。
学習者の「自律」のためには?
前述したように、最初から「自立した」生徒はなかなかいません。「自立した」結果の前には、「自律」というプロセスが必要です。
学習における「自律」とは何でしょうか?
「自律」の引用を確認しますと、
他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること。
でしたね。
学習するときには様々な誘惑や制約がありますが、それに負けずに計画を立てて、実行する力。すなわち、PDCAサイクルを回す力とも言えます。
Plan(計画)
定期テストや入試に向けて目標点を設定し、到達に必要な学習量・学習教材を決めます。そしてそれらを週毎や日毎の計画に落とし込んでいきます。
Do(実行)
立てた計画を実行します。時間内に実行し切るためにタイマーで時間を測ったり、勉強する場所を予め決めておくのもポイントです。
Check(評価)
計画通りに勉強が進んだかを振り返ります。当初予定していた分量や難易度を見直します。ここでは先生やチューターにチェックしてもらうと効率的です。
Action(改善)
評価した結果を、次の計画立てに生かします。上手くいかない場合は実行の途中でも必要に応じて評価し、早めに改善を行うのも得策な場合があります。
このPDCAサイクルを最初から一人で回すことができる生徒はなかなかいません。
慣れるまでは先生やチューターのサポートのもと、PDCAサイクルに沿った学習を習慣化させていく必要があります。
次第に自律してできるようになり、自立した生徒に育っていきます。
まとめ
自立と自律は、因果の関係です。
自律した結果、自立した生徒に育つことができます。
学習においては、周りの人のサポートによってPDCAサイクルを回すことに慣れればそれが自律への第一歩となります。
次第にサポートがいらなくなったら自立して勉強できるようになります。