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「老後2000万円問題」から学ぶ国民に必要な金融リテラシー

 

 

昨今、話題になっている「老後2000万円問題」。

その経緯と狙い、その先の金融教育についてまとめてみます。

 

 

 

 

問題の経緯

 

2019年63日に金融庁有識者会議が公表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」が話題になっています。議論になった経緯は、「公的年金では老後に2000万円不足する」とした点が取り上げられ、政府に対して激しいバッシングが起きたからです。

 

報告書が公表された目的は、国民の金融リテラシーを高め、老後に向けた資産形成を促す環境作りのためでありました。

 

議論の火消しのための撤回は本質から目を背けることになり、本来は国民、特にこれから公的年金授受(できるか分からないけど)の対象の子どもたちに向けて金融リテラシーを高めるきっかけにならなければならないと思います。

  

 

2000万円は必要?足りない?

 

報告書の「2000万円」は、高齢者の平均貯蓄額が2400万を前提としています。そもそも国民年金という制度は、老後の生活を100%保障するものではありません。

 

この事実を国民に投げかけ、「足りない分は資産運用をしたりして、どうやって確保していくか考えなければなりませんね」の問いかけです。

 

もともと制度に限界がきているこの年金制度に対して「話と違うじゃねーか!」と いうのではなく、ちゃんと金融についての知識を国民全体で身につけならないことを受け入れなければなりません。

 

 

現状の日本の国民の金融リテラシー

 

日本の国民の金融リテラシーは低いことで知られています。

2016年に金融広報中央委員会が18~79歳を調査対象に行った「金融リテラシー調査」によると、米国、ドイツ、英国などの諸外国と比較して正答率が10%程低かったそうです。

正答率が低かった項目は「生活設計」と「金融・経済の基礎」。結婚費用や老後費用がどれくらいかかるのか知らなかったり、生命保険の比較検討能力が欠けていたりするということです。

 

www.jibunbank.co.jp

 

金融広報中央委員会

d.hatena.ne.jp

 

 

また、日本ファイナンシャルアカデミー株式会社が実施した調査では、日本国民の8割が「自分の人生に必要な金額を知らない」という結果が出ています。

 

www.jiji.com

 

貯蓄を基本としてきた日本国民には、金融リテラシーとして「資産運用」に関する知識が必要と言われてはいます。

 

しかし、それよりも自分の普段の生活や、結婚や子育て、住宅購入などの少し先の人生に必要な金額を知ることが欠けているようです。

 

このような金融リテラシーの低さを知ると、今回の「老後2000万円問題」が議論になるのも無理がないと少し思えてきます。

 

それでも、現在では金融リテラシー向上のための教育が学校現場でなされるようになってきています。

 

 

次回は、実際の学校現場でどのような取り組みがなされているのかについて書きます。